思い出のマーニーをふりかえる7

アンナの風景

リバプールステーション
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かわりにアンナは、スーツケースをぶらさげたまま列車の乗り口の前にぎこちなく突っ立って、こう願っていた。わたし、「ふつうの顔」をしているといいけど・・・どうか早く列車がでますように。(角川版P7)

田園風景
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じゃあ、「ふつうの顔」はうまくいったわけだ。おかげでだれもアンナに気づいてもいない。ほっとして窓の外に目をやると、平らな干拓地がどこまでもつづき、いくつもの畑をあいだにはさんで、農家がぽつり、ぽつりと立っていた。アンナはひたすらその景色を見つめつづけた。・・・なにも考えないで。(角川版P15)

ヒーチャム
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プラットホームで、丸顔の大きな女の人がこちらに向って買い物袋をふっている。ペグのおばさんだな、とすぐにわかり、アンナは歩みよった。(角川版P16)

バスからの風景
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そして、はるか左へ目をやったとき、海が細く長い線のようにのびているのが見えた。アンナは胸がどきんとした。ほかにも海にきづいた人はいないかとあたりを見わたしたけど、だれもいない。(角川版P17)

入江へ続く道
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「うちの前の道をずっと行って、十字路を左に曲がるんだよ」ペグのおばさんが教えてくれた。「郵便局は、そのすぐ先だからね。そして十字路を右に行けば入江があるんだ。ちょっとそこらを歩き回ってごらん」(角川版P26)

郵便局
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郵便局はすぐに見つかった。驚いたことにペグさんの家と同じような丸石づくりの一軒屋で、平たい郵便箱が壁に埋め込んであったので、そこにハガキを投函した。それから十字路まで引きかえした。なんだかとても自由な気持ちだ。自由でからっぽな気持ち。(角川版P26)

湿地
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アンナは入江の水ぎわまで歩いていって靴と靴下をぬぎ、はだしで水に入って、目の前に広がる湿地を見わたした。湿地のむこうの砂浜には砂丘がもりあがり、日差しを受けて輪郭だけが金色に輝いている。砂丘の両側には、海が青い線のように細くのびているのが見える。小さな鳥がアンナの頭上をかすめるように入江を飛びこし、一本調子のもの悲しい泣き声を四回、五回とくりかえした。まるで「ピティー・ミー、オー、ピティー・ミー」と言っているみたいに聞こえる。「悲しいね、ああ、悲しいね」と。(角川版P29)

そのとき、その屋敷が見えた
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右へ目をやると、村は畑のあるほうにむかってだらだらと広がり、遠くには風車小屋がひとつ、空を背に黒々とそびえている。つぎにアンナは、ずっと左のほうを見わたした。数軒の家の向こう、草におおわれた土手にそって長いレンガの塀が走り、塀がとぎれたところに黒っぽい木立がある。
そのとき、その屋敷が見えた・・・。(角川版P30)

■湿地屋敷
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見えたとたん、これこそ自分がずっとさがしていたものだとわかった。屋敷は入江に面していて、大きくて、古めかしくて、角ばっていて、たくさんある小さな窓には色あせた青い木枠がついている。こんなにたくさんの窓に見つめられていたら、だれかに見られている気がするのも無理はない。(角川版P30)

細い窓
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アンナはだんだん大胆になって、玄関の両側についている細い窓から中をのぞいてみた。一方の窓台にはランプがのっていて、破れたえびとり網が立てかけてあった。玄関ホールの真ん中には、広々とした階段がついている。(角川版P40)

よきものなんて、どこにもない
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アンナは壁にかかった刺繍の額を見て、それにも腹を立てた。「よきものをつかめ」って言うけど、よきものなんてどこにもない。だいたい、これってどういう意味なんだろう。錨って、よきものなの? でもそんなものを持っていたところで、一日じゅう持ち歩くことなんてできやしない。それこそばかみたいだ。

アンナは額をうらがえしにして、窓辺に歩みよった。床にひざまずいて、夕焼けに赤くそまった畑を見はらすと、みじめな気持ちが熱い涙になってほおを伝った。「よきもの」なんてどこにもない---いちばんよくないのは、このわたしだ。(角川版P56)

シーラベンダー
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湿地は紫色のかすみにおおわれていた。咲きはじめたばかりのシーラベンダーだ。アッケシソウを摘み終えたら、シーラベンダーも少しつんでみよう。(角川版P62)

アッケシソウ
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アッケシソウは緑色でみずみずしかった。食べても海の塩の味がするだけだけど。アンナは袋がいっぱいになるまでアッケシソウを摘むと、シーラベンダーはまた別の日に摘みにくることにして、郵便局へ向った。(角川版P63)

砂浜
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アンナは入江を横切って湿地を歩き、さらにその向こうにある入り江もバシャバシャと渡って砂浜へ行った。そして、鳥達だけをおともに砂浜のくぼみに横たわって、長く暑い昼下がりをなにも考えずに過ごした。(角川版P70)

■「浜辺は、なんのにおいもしません」
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もっとも、風向きが悪くて、自然がいじわるをしたときには、死んだアザラシのにおいがすることもある。でも、死んだアザラシのにおいのことなんて、だれもハガキに書いて欲しくないよね。そうおもったアンナは、かわりに天気のことと、ここ数日の潮の様子(このときいちばん気になっていたこと)を詳しく書いた。(角川版P110)

風車小屋ちかくの堤防
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つぎの日、アンナは早起きをした。こんなに幸せな気持ちで目覚めたのはすごくひさしぶりだ。そしてペグのおばさんが起きだす前に、そっと家をぬけだした。今日はマーニーといっしょにキノコ狩りをする日だ!(角川版P142)

風車小屋
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見あげると、風車小屋は空高くそびえたっていた。黒くて、とてつもなく大きい。一瞬、自分のほうへかたむいて、たおれてくるような気がして、アンナはぞっとした。(角川版P183)

ちなみに風車小屋は現在コテージとして利用されているようです。
料金や中の様子はコチラ


思い出のマーニーに登場する風車だということも、中に書かれていますね。

つづく