思い出のマーニー 感想と考察 10 (パーティー~キノコ狩り)

※以下、ジブリの新作アニメ「思い出のマーニー」のネタばれが含まれています!!※


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パーティー 彩香 そして3度めの出会い


この後、2人はパーティーに出て、その後一週間出会わなくなります。


原作では、その後もアンナとマーニーとの交流がまだ何度か続くのですが、映画ではマーニーとの別れが訪れる前にマーニーがこの世の人物では無いということが明確にされます。


杏奈はパーティー翌日に湿地屋敷を訪れますが屋敷は無人。それに草ぼうぼうで、昨夜パーティーが開かれた時の姿とはまるで異なります。


そしてパーティーから一週間後に彩香が登場し、杏奈はマーニーの日記の存在を知ることとなります。


杏奈の口から「マーニは私が空想で作りあげた友達」と言わせるのは原作も映画も一緒ですが、映画ではマーニーとの別れの前に言わせているのが異なります。


演出としては、原作よりもミステリアスな展開ですね。


マーニーとは一体誰なのか?観客の関心はその一点に集中します。

サイロへ


次に杏奈とマーニーと出会うシーンは霧の中。杏奈の空想の中だという印象が強いシーンです。映画で流れる音もおどろおどろしくて、すこし怪談物のような印象すら覚えます。


杏奈は、自分が養母の佐々木夫妻から「やっかいもの」だと思われていること(彼女の誤解ですが)、佐々木夫妻が国から養育費をもらっていることをマーニーに告白します。


ここで養育費の書類がスクリーンに映りますが、平成24年度の書類でした。仮に劇中の年が26年だとすると、杏奈は2年前、つまり10歳の時に養育費の存在を知ったのですね。*1 この書類を杏奈は小学校6年の冬に見たようですので、つまり養母との関係がギクシャクしてから半年のようです。


養育費をもらっているからといって、杏奈が養母から愛されていないという理由にはならないとマーニーが指摘しますが、杏奈は「ふつうの子はもらっていない」ことにこだわります。


映画では杏奈が養育費の書類を盗み見た直後に養母が帰宅して杏奈に色鉛筆をプレゼントするシーンがありますが、どうせ養育費で買ったのだと思うと杏奈は複雑な心境だったのだろうと察することができます。


一方、マーニーはマーニーで、自分が孤独に感じていることを杏奈に告白します。


杏奈はマーニーが羨ましいと言い、マーニーは杏奈が羨ましいと言う。


2人は「私達、まるで入れ替わったみたい」と言って笑い合いますが・・・・私、劇場で最初にこのシーンを見た時は「きっとマーニーは何らかの怨霊で、杏奈の体と入れ替わろうとしているんだ!」と勘違いしてしまいました。。。


そういえば、幼きころの杏奈が持っていた人形はなんだかマーニーに似ていた気がします。


人形が杏奈の体を手に入れて人形の体と入れ替わろうとしている!

杏奈逃げてえええっ!!


・・・そう思っていた時期が私にもありました。


しかもマーニー、空飛んでるし(笑)


マーニーが崖から空中に足を踏み出すのも、映画独自の演出です。


さてさて。


2人はその後、杏奈の提案でサイロへ向かいます。サイロが怖くないということを確かめに行くのが目的ですが、ここも原作からは少し改変されているようです。

【原作】

  • アンナとマーニーは別々に風車小屋に向かい、偶然風車小屋で出会う
  • アンナが風車小屋に向かった理由は、風車小屋なんて怖くないと後でマーニーに言えるようになるため
  • マーニーが風車小屋に向かった理由は、勇敢になろうと思ったため
  • アンナが風車小屋に入ると、上に既にマーニーがいることに気付く


【映画】

  • 杏奈とマーニーは2人でサイロに向かう
  • マーニーが杏奈を「和彦」と呼ぶのは、映画のオリジナル要素
  • 彩香が登場して「日記の続きを見つけた」というのは映画のオリジナル要素


映画の演出では、原作よりも一層ミステリアスなシーンに改変されています。


まず印象的なのは、マーニーが杏奈を「和彦」と呼ぶ点です。マーニーの目には杏奈が見えておらず、かわりに和彦の姿が見えているようです。


まるでマーニーの過去の記憶を、未来からきた杏奈がのぞいているかのような・・・。


ここで彩香が登場します。彼女はマーニーの日記の続きを見つけたと言いますが、彼女の目にはマーニーは見えていなかったようです。


ここで画面がぐっと引くのですが、杏奈のいる場所からサイロまでの何十メートルもある距離の中にマーニーの姿は見当たりません。


杏奈がサイロに入ってマーニを見ると、なぜか彼女はさっきまで持っていなかったコートをかぶっています。これは和彦のコートのようです。


杏奈は下に降りようと言いますが、マーニーは下に降りることを怖がり、そのまま2人は眠ってしまいます。


そして杏奈の夢の中で和彦がマーニーを迎えに来て、杏奈が目を開けるとマーニーの姿がもうありません。


マーニー、大好きなマーニー!

あなたまでもが私を置いていってしまった!

死んだ母や、おばあちゃんのように!


盗んだバイクで走りだす杏奈。泣きながら坂道を大爆走します。


ここも映画独自の演出が入っています。


杏奈の夢の中で和彦(原作のエドワード)がマーニーを迎えに来て、杏奈を置いて消えてしまうというのは原作も映画も一緒です。


原作者の意図としては当然このエピソードはアンナが孤児になった点と重ねあわせているものだと思いますが、原作ではこれを直接的に母や祖母がアンナを残して死んだことに重ねあわせるという書き方はしていませんでした。


原作ではここまでのエピソードがある程度のリアルなイメージを持って描かれているのですが、映画ではマーニーがこの世の人ではないということを既に観客が知っているという点も大きな違いですね。


そして物語はクライマックスを迎えます。


つづく


思い出のマーニーとは編集


*1:23年に発行された24年度の養育費に関する書類のようです