思い出のマーニー 感想と考察 11 (サイロ~エンディング)

※以下、ジブリの新作アニメ「思い出のマーニー」のネタばれが含まれています!!※


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十一(トイチ)について興味のある方はこちらこちらの記事もあわせて参照することをおススメします。


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クライマックス


彩香はサイロへの途中の道で杏奈を見つけます。ひどい熱。お兄さんは助けを呼びに行きました。ナイス判断。きっと近所の住民の車で大岩家まで運んでもらったのでしょう。


ベットの上で熱に苦しむ杏奈。夢の中で湿地屋敷に向かい、物語はついにクライマックスを迎えます。


かなりうろ覚えなのですが、大体内容としては以下の様なセリフを話していたと思います。

杏奈「置いていくなんて酷い。絶対にゆるさない!
・・・
マーニー「杏奈ゆるして!置いていくつもりはなかったの!」
杏奈「どうして私を置いていってしまったの?どうして私を裏切ったの?」
マーニー「仕方なかったの。あの時あそこにアナタは居なかった
杏奈「え?」
マーニー「杏奈!大好きな杏奈!おねがい私を許すって言って!
杏奈「もちろんよ!許してあげる!あなたが好きよ、マーニー!」


サイロに置いて行かれて激おこだった杏奈ですが、マーニーから許しを求められると、あっという間に全てを許してしまうのが印象的なシーンです。


嵐はますます強くなり、水に流されそうになる杏奈。杏奈大ピンチ!


原作ではこのシーン、アンナは本当に溺れかけます。


アンナは自分が無事にペグ家の自分の部屋に戻ることを妄想して難を逃れようとしますが、実際には水の中に倒れこんでしまいます。


そこで登場するのが、無言キャラのトイチ原作ではWuntermennyという名ですが、彼が颯爽とアンナを救い上げ、ペグ家までアンナを運んであげるのでした。


ちなみのこのWuntermenny、名前には悲しい由来があって、彼は十一番目の子供だったのですが、母親の「この子は余計(one too many)だった!」とのセリフから「one too many」→「Wuntermenny」となったのでした。


新潮版では「ワンタメニー」と音訳されていましたが、角川版では「アマリンボウ」と意訳されています。


マーニーの日記の中に、湿地屋敷の窓から幼きWuntermennyがイジメられているシーンを見たという記述があるのですが、マーニーには名前が上手く聞き取れなかったようで「Winter man」と聞こえたようです。角川版では「アメンボ」と意訳されています(笑)


映画では、十一番目の子供だから「十一」つまりトイチになったんですね。


話が大分それました。


原作では以上のようにアンナ大ピンチのシーンなのですが、映画版では心配ご無用。


空は晴れ、嵐は収まり、草原の緑は鮮やかに映え、マーニーは輝く光の中で穏やかに微笑みます。


まるで幽霊であるマーニーが成仏しちゃったかのような印象を受けるシーンです。


マーニーの台詞にある「あの時あそこにあなたはいなかった」という言葉も映画のオリジナルですね。


でも正直に言うと、このシーンを最初に見た時は「そんな大げさに表現しなければならないようなシーンかなあ?」と感じました。


この映画、あと何分続くんだろう。映画館のクーラーも、すこし辛く感じてきたな。・・なんて時間を気にしていた記憶すらあります。


この物語で一番重要なシーンなのですが、ここの考察は後ほど行おうと思います。

別れの後


熱も下がってベットから起き上がっている杏奈。彩香がお見舞いに来たことを大岩婦人に告げられますが、まるで憑き物が取れたかのような印象の穏やかな笑顔で返事をします。


おや? なんだか杏奈の様子がこれまでとは違いますね。


違うのはこれだけではありません。


最後に養母の佐々木頼子が釧路に現れ養育費について杏奈に告白しますが、杏奈は既に何も気にしていない様子。


その後、マーニーが自分のおばあちゃんだったと気づきます。


そして久子に頼子を「母」だと紹介し、信子には謝罪し、物語は終わりを迎えるのでした。

鑑賞後の感想


最初この映画を見た時は、杏奈とマーニーの血縁関係には全く気が付きませんでした。


だって杏奈は日本人で、マーニーは金髪の外人。外人が日本に住んでいるのが少し不思議でしたが、まさか血がつながっているとは夢にも思いません。


劇中で信子が「杏奈の目が青くてキレイ」とヒントらしきことを言っていますが、それも完全にスルー。


その意味では舞台を日本にしたことは結構成功しているように思えます。


ところで、昨夜NHKジブリのドキュメンタリーを見たのですが、宫崎駿はマーニーが金髪であることを気に入っていない様子。


新しく出来上がったマーニーのポスターを社内で見かけても「金髪じゃなければいいのに」と捨て台詞を残します(笑)


彼はこの映画に関わっていないようですが、当初は「舞台を瀬戸内海にしよう!」と言っていたようです。


瀬戸内海を舞台に、明るく活発なマーニーと、元気な少女杏奈が登場する「思い出のマーニー」。見てみたいような気もしますが・・・たぶん全く別な映画になっていたと思います(笑)


それにしても、マーニーが祖母だったのは驚きでしたね。もしマーニーが杏奈と何の関係もない単なる湿地屋敷の地縛霊だったならば感動も半減なのですが、杏奈の祖母だとわかると、あとからいろんな想像が湧いてきました。


なるほど!早死して杏奈の面倒を見れなかったマーニーが、幽霊になって孤独な杏奈を慰めにきたんだね!


そういえば、杏奈は自分を置いて死んだ母と祖母を憎んでいました。


あの別れのシーンは、孫を残して早死したマーニーの謝罪のシーンでもあったんだ!


そして孫から許してもらったマーニーは、無事成仏できたのでした!


めでたしめでたし。


でも、本当にそれだけなの?


ここでようやく、このブログの一番最初の疑問点にたどりつきました。


次回以降、この疑問点を掘り下げて行きたいと思います!


つづく