思い出のマーニーをふりかえる6
アンナとマーニー
再び原作にもどります。
マーニーと友達になったアンナ。しかしいままで友達を持ったことがないアンナにはそれが信じられません。
角川版P84
ボートがきしんだ音を立ててそっと岸辺の砂の上に乗り上げると、アンナは飛び降りた。少しのあいださよならを言いたくない気持ちで、だまったまま、へさきをつかんでいた。(略)アンナは目をあげ、星がちらばる広大なそらをあおいだ。ああ、やっぱりこれはみんな夢だ・・・。
なんだか寂しげに星空を見上げている少女の姿が目に浮かびます。
なごりおしさに船のへさきをつかんでいるという表現も、アンナの心情がうまく表現されていますね。
凄く情緒的なシーンなので、この場面が映画に無いのは少し残念です。
それにしても
「自分に友達ができた!」 ==> 「じゃあこれは夢に違いない」
アンナどんだけ(笑)
しかしマーニーにほっぺにチューされた後、ようやくこれが現実だと納得したアンナ。
角川版P85
ということは、やっぱりあの子はほんとにいるんだ!アンナは喜びにふるえながら、家へ向かって走った。
この「喜びにふるえながら」というのが、なんか良いですね。アンナの喜びが目に浮かびます。
※画像はイメージです
さてさて。
物語の開始からアンナがマーニーと友達になるまでだいたい80ページくらいあります。
第一章からアンナの孤独感が描写され続けてきたので、アンナに友達ができたことに読者の感慨もひとしおです。
さて、改めて物語全体の構成を眺めて見ます。
こうしてながめると、マーニーとの交流はかなり短いですね。
はかない夢のような交流だったことがわかります。
マーニーの日記
マーニーの日記は、原作では第一次大戦(1914-18)のころに書かれたことが明らかになっています。では正確には何年なのでしょうか?
まずヒントとなりそうなのが6月5日の日記
角川版259ページ
ベルギーの子どもたちは、鉄砲や戦いの音で目をさます。
しかし調べてみるとベルギーは大戦を通じて最前線に位置していたらしく、ヒントにはなりませんでした。
次に目をつけたのが7月11日以降の日記です
7/11
エドワードが来た。これから十日間ここにいる。(略)
木曜日
浜辺へ行った。
金曜日
ふたりで砂丘に小さな家をつくった。(略)
月曜日
エドワードと馬で散歩。
木曜日
きょう、エドワードは私に、Pのしつけをさせようとした(略)
日付なし
エドワードはわたしを風車小屋へ連れて行きたがっている
つまり、7/11から21までのあいだに木曜日が2回含まれるようなカレンダーのある年がマーニーが日記を書いた年だとわかります。
となると、候補となるのは1916年と1917年です。
ですが1916年は木曜日がギリギリ最後に来ているので、恐らくは1917年ではないかと思います。「日付無し」の日記が金曜日だとすると、風車小屋にいったのはその翌日の土曜日です。
というわけで、ここにまた一つトリビアが生まれました。
原作でマーニーが風車小屋に行った日は1917年7月21日(土)です。