思い出のマーニーをふりかえる2

早いもので、もうマーニーのDVDレンタルが開始されましたね。


このブログを訪れる人も少し増えたようです。


DVDを借りてきて久々にマーニーを見たのですが、劇場では気付かなかった点など、新たな発見もありました。


前回からだいぶ日数があいてしまいましたが、続きを書いていきます!

心に住む夢の家族

「よきもの」なんてどこにもない---いちばん良くないのは私だ


みじめな気持ちが熱い涙になってアンナのほおを伝った時、アンナの心に浮かんできたのは湿地屋敷のパーティーでした。


心のなかで想像したダンスパーティーがあまりにも鮮明に感じられたので、アンナにはそれがまるで現実のように思えてきてしまいます。


ダンスパーティーを見ようと夜の湿地に走るアンナ。
しかし、そこにあったのは静寂と暗闇だけでした・・・。


このあたりの描写は、なんだかマッチ売りの少女を連想させます。

ひらいた窓の前にじっとひざまずいて、アンナは夢にどっぷりとひたり、まるで自分がそこにいるかのように感じていた。ただし中ではなく、外のあの歩道からのぞいている。玄関のわきの細い窓から、色鮮やかなドレスがいくつも目の前をいきかうのが見える。


ここで書かれている「玄関のわきの細い窓」とは、きっとこの窓だと思います。
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この小説の重要な要素である湿地屋敷。アンナはこの屋敷の存在を知ってからというもの、ほとんど一日中湿地屋敷のことばかりを考えるようになっていました。


そして湿地屋敷に引っ越してくる家族があることを聞いてからというもの、その家族に思いをはせるようになります。


角川版 P50

でも、この家族はきっとちがう。だって、まずなによりあの屋敷で-「わたしの」屋敷で-暮らすんだもの。それだけでも特別なことだ。私の家族みたいのものだと言ってもいい。


アンナから人を遠ざけてしまう魔法の輪。


けれど、この夢の家族だけはきっとちがうにちがいない。


しかし、そう空想する一方で、本心でアンナは「そんな人たちが居るはずない」とも思っています。


あくまで「これは空想なんだ」と自覚した上での妄想なんですね。


角川版 P49

ほんとうにその人たちを知って、向こうもアンナのことを知ったら、そういうことがみんな台なしになってしまう。きっとその人たちも、ほかの人たちと同じく、うわべだけ愛想よくしてくれて終るだろう。


角川版 P50

アンナは空想の中で気の向くままにつばさを広げ、まだ見ぬその家族のことを、まるで自分の心に住む夢の家族のように思い始めた。本物の人たちのはずがない、と強く心に言い聞かせながら。


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しかし、そんな妄想にどっぷりとひたっているアンナの前に、本物の屋敷の住人が現れました。

マーニー


にみた湿地屋敷の住人が突然アンナの前に現れました。


それがマーニーです。


しかし、あくまで


アンナと友達になりたがるようなそぶりを見せるマーニーに、アンナはを向けてしまいました。


角川版 P79

アンナは、ぷいっと背を向けて言った。「無理すること無いよ」


結局はこの子も、うわべだけ愛想良くしてくれるだけ。


たとえ湿地屋敷の住人であろうと、アンナと友達になりたがる人なんて現実にはいるはずが無いのです。


そんなことはアンナには分かりきっています。


だから、無理して友達になりたがるフリをする必要なんてない・・・。


しかし帰ろうとするアンナにマーニーは言いました。


角川版P79

だめよ、行かないで!なにをばかなこと言っているの。あたし、あなたことがすごく知りたいのに。


なんということでしょう!


誰からも愛されたことがないアンナに「あなたのことがすごく知りたい」と言ってくれる人が現れたのです!


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心に住む夢の家族が、本当にいたのです。


つづく